こんにちは。
藤沢市片瀬海岸と西鎌倉のバレエ教室。バレエアートシアターin湘南の藤田優子です。

最近、『エフォートレス思考』という本に出会い、改めて努力という言葉、考え方、行動について、考えなおす機会を得ました。

『エフォートレス思考』の主題は、努力を推奨しないということではないんです。
努力の概念を変えるという方がしっくりくるかもしれません。

ただ、努力に対する誤解は解いていかないとならないなと私は思っていて、この記事を書くことにしたのです。
果たして、努力はした方がいいですか?しなくていいですか?


情操教育としてのバレエを指導する時には、特に幼児期から10歳くらいまでは、楽しさ、幸福感、達成感、自由な発想と子どもさん自身の意思決定を最優先することが多くなります。
私達指導者は何かを教えようとする前に、子どもさんと出会ってからしばらくは待ちの姿勢で向き合うことになります。
努力することが向いてるお子さんか、向いていないお子さんか、経験と勘、そしてエビデンスを頼りに見極めなければなりません。
非常に難しいことです。

私はいつも、子どもさんの心の成長と目的、適正を注意深く見ながら、ある時期から慎重に努力が必要な機会を提示していくことにしています。
バレエ教室なので、バレエの上達というゴールも視野に入れるなら、やはりいつかは努力が必須になります。
バレエに限らず、苦しい時に心が成長するのは、紛れもない事実のようです。乗り越え方は様々ですが……

私が児童のための発達心理学を再勉強し始めた頃、トレンドとして、好きなことだけをやるのがいい、努力はあまり意味がないなどの、
私たち世代には耳新しい、すこし極端なものが表に出てきました。
そしてその新しい考え方を理解し、受け入れようとするあまり一瞬怯んでしまい、子ども達に努力を提示するのが怖くなったことがありました。
もしかしたら私の指導方法は、大人の都合を押し付けているのかもしれない。
バレエにとって都合のよいように、努力という大義名分を使って、純粋な子ども達を導いている自己満足なのではないかと思ったのです。
今なお、そう思うことは多々あります。
子どもさんが努力している姿に、大人達は安心してしまうから……
無理強いしているつもりがなくても、子どもさんは大人をよく見て、敏感に反応してしまいます。

ですので、私はハラハラしながら、いつでも必要があればその努力をストップさせる勇気を持っていなければ……と思っています。
適切でない内容、タイミング、接し方になっていれば、子どもさんを傷つけるだけです。

努力についての世の中的な考えは、まだまだ未発達なのかもしれません。
中には努力に向かない心をもった子どもさんも一定数いて、その子達は、努力ができる子どもさんと比べてなんら劣らないということが、まだまだ知られていないように感じます。

辛いと感じることを嫌がり、得意なこと、楽しいことばかりやっている姿に周りの大人が不安を覚え、努力を覚えてほしい!と思ってしまうことは良くありますよね。

努力するべきかそうでないか、この2パターンの考え方は、どちらかに偏るものでもなく、お互い封殺しあうようなものでもありません。
どちらも、子どもさん当事者にとっては正しい可能性があるというだけなんです。

その子どもさんが努力が向いているかどうかを知るには、大人の理想を捨て、雑音を遮断してその子を見ればはっきりわかります。
そのくらい、子どもさんは雄弁に生きています。

Ballet Arts Theatre in Shonan 
江の島スタジオ ・西鎌倉スタジオ
藤田 優子